
そのうちパート1から順番にレビューを書こうと思っていたのですが、明日の金曜ロードショーで放送されるということなので、パート2のレビューを先に書いておきます。ひと言で言うと、この映画は存在そのものが「アルゴ探検隊」や「シンドバッドの冒険」などの特撮人形アニメで有名なレイ・ハリーハウゼン作品へのオマージュであり、パロディなのです。そのことに対する賛否両論もあるかと思いますが、まずはそんなことは忘れて子供と一緒にドキドキ・ワクワクの冒険の世界を楽しみましょう。映画は子供のためのものなのです。
スパイキッズ・シリーズは、超低予算映画「エル・マリアッチ」で一躍ブレイクし、今公開中の続編「レジェンド・オブ・メキシコ」などで第一線を賑わしている、アクション・コメディタッチの作風でおなじみのロバート・ロドリゲス監督の作品です。中でも「スパイキッズ」は子供が主役の子供のための映画ということで、より突き抜けた、ブッとんだ内容になっています。突然自分の両親がスパイだったことを知らされ、自分たちもスパイとして戦わなければならなくなったジュニとカルメン。彼らは困惑しながらも与えられたハイテク・グッズをゲーム感覚で使いこなし、ロケッティアさながらのジェット・スーツで突然空に放り出されても、持ち前の若さとパワーで乗りこなし縦横無尽に飛び回ってしまいます。もちろん映画だからこその現実離れした展開なのですが、この映画は「子供の世界は何でもアリ」という、子供時代なら誰しも持っている夢見るパワーの偉大さを、勢いたっぷりに描いているのです。子供はみんなその気になれば空だって飛べるし、いますぐスパイにもなれる。そういう子供の純粋な心がベースになって作られている映画なので、大人の理屈やうんちくは二の次なのです。
さて、第2弾の「スパイキッズ2 失われた夢の島」では、主役のジュニとカルメンが、まるで「アルゴ探検隊」や「シンドバッド」が旅したような未開の島を舞台に冒険します。今回はハイテク・メカの登場はどちらかと言うと少なく、ハリーハウゼン映画そのまんまの「一つ目巨人」や「骸骨の兵隊」など、CGで作られた魅惑のクリーチャーたちが次々に現れて襲いかかってくるのですが、そうは言ってもスパイキッズならではのどこか人工的に保護されているような独特の「箱庭」感覚が全編に溢れています。最後にはおなじみの両親やおじいさん、おばあさんまで駆けつけてくれるので、あくまでも親の目の届く範囲での冒険という設定は前作と変わらないのですが、今回は終盤近くまで親に頼らず2人きりで頑張っているので、結構泣かせてくれます。
ライバルのスパイキッズ兄妹まで現れて、任務の遂行を先取りしようと点取り争いを繰り広げたりもするのですが、ここでも持ち前の「子供パワー」を発揮して、お菓子をエサにモンスターを手なずけて対戦させてしまったりと、現代っ子なりのたくましさを体現している所が楽しいですね。
レイ・ハリーハウゼンの映画をリアルタイムで楽しんだ世代や特撮ファンにとっては、人形を使ったストップモーションだからこそ出せる味わいのある映像を、手軽なCGでリメイクするなんてけしからん、と思う人もいるかもしれません。確かにCGで作られたクリーチャーたちは、どこかのっぺりとチープな感じがして、レイ・ハリーハウゼンの映像世界とは全くの別物であることには違いないと思うのですが、「スパイキッズ2」がハリーハウゼンの世界観を取り入れた意義はもっと別のところにあったと思います。
テレビゲームはもとより、トイストーリーやモンスターズインクのようなフルCGの映画を小さな頃から当たり前に親しんできた今の子供たちにとって、この映画に出てくるクリーチャーたちに対して私たちが受けるような違和感はゼロであるに違いありません。そんな世代の子供たちが、直接はハリーハウゼンのことなど知らなかったとしても、大人の世代がかつて「アルゴ探検隊」や「シンドバッドの冒険」で味わったようなめくるめく興奮を味わうことができるのです。このまま放っておいたら子供たちの記憶から永久になくなってしまいかねない人形アニメーションの世界を大スクリーンに蘇らせ、上っ面の「衣装」は違えど形を変えてその「遺伝子」を残すことに成功したのですから、私としてはよくやったのひと言に尽きるのです。将来これを観た子供たちが、興味を持って調べさえすればきっとレイ・ハリーハウゼンの存在にも行き着くに違いないので、大人の心配には及ばないでしょう。
※ちなみに原題は「THE ISLAND OF LOST DREAMS」なので、失われた「夢の島」ではなく、「失われた夢」の島、という意味。「失われた夢」とは最近は子供たちに見向きもされなくなったレイ・ハリーハウゼン映画のことを意味しているのではないでしょうか?
金曜ロードショー「スパイキッズ2」を録画予約する(iEPG対応)
3/19(金)21:03~22:54放送
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風のまにまに号

ハリーハウゼン! 懐かしい名前に、思わずのけぞりました。
アルゴ探検隊、大好きだったんです。
シンドバッドの阿修羅は、幼心にすごく怖かったなあ。
それにしても、スパイキッズは、子役の顔が好みではないのと(好きな方、ごめんなさい)、「子供映画」ということで甘く見ていましたが、そんな仕掛けがあったのですね。
意外です。
それにしても、youthkeeさん、結構映画を見てるんですね。