「ハートを売ってパワーアップ?」
先週放送分のひょうたん島レビューです。詳しいあらすじや人物紹介については、NHKホームページや、ひょうたん島ガイドブックを参照してください。
海賊4人組と子供たちが「どっちがミルクをたくさん出せるか」と魔法合戦をしていたところ、子供たちが間違ってミルクの代わりに凶暴な牛を出してしまいます。みんなが大慌てしているところに、魔女にハートを売り渡したトラヒゲがやって来て、あっという間に魔法で牛をやっつけてお肉やバター、靴や鞄などの牛製品に変えてしまいます。さらに自分を馬鹿にした海賊たちを強力な魔法でこらしめて、みんなから羨望の眼差しを受けます。
ところが、今度は海賊たちも魔女にハートを売り渡して強力な力を手に入れてトラヒゲに仕返しをし、決闘をして決着をつけることになります。だんごの大食い対決の末に痛み分けをして、仲直りしたトラヒゲと海賊たちは意気投合し、今度は一緒になってサンデー先生に魔法でイタズラをはじめるのでした。トラヒゲや海賊たちの行動に疑問を持った博士でしたが、魔女たちに「誰にも解けなかった魔法の方程式」を与えられ、夢中になって計算に挑戦することになります。


安々とハート(心)を売り渡してしまったトラヒゲたちですが、心=魂がなくなるとどうなってしまうのでしょうか?今回のトラヒゲや海賊たちの様子を見ていると、粗悪で暴力的な態度になって、大好きだったはずのサンデー先生にイタズラして悲しませても何とも思わずヘラヘラ笑っています。
「心とは何か?」と抽象的に考え出すと、果てしなく哲学的な問いかけになってしまって話が難しくなってしまうと思いますが、ひょうたん島作者の井上ひさしさんは「言葉遊び」が大好きなので、ここは素直に劇中に出てくる「言葉尻」だけを追ってみると理解しやすいでしょう。「やさしい思いやりの心」「心のこもったプレゼント」・・等々。つまりここでは、相手を思いやるやさしい気持ちがなくなってしまった、と解釈すればよいのではないでしょうか?
ハートを売り渡すときにトラヒゲが魔女たちに言ったセリフが印象的です。
ハートなんて俺が稼いだもんでも、苦労して手に入れたわけのもんでもない。実に商売人のトラヒゲらしい考え方ですが、これは非常に教訓的な含蓄に富んだひと言だと思います。私たちは学校や本や教科書であらゆる知識やスキルを学んで、それを仕事にすることで「お金」に還元することができる世の中にいますが、「他人を思いやる心」について体系づけてきちんと教えてくれる人などどこにもいません。それは私たちが生まれ育つ過程で、親や先生といった周囲の大人との付き合いの中で自然と身につけていくものなので、ともすればその大切さが分からなくなってしまったり、学校の教科や資格と違って「数値化」することができないので、ついつい軽視してしまう危険をはらんでいるんだ、ということを教えてくれているのです。
生まれたときからなんとなくあったもんだからね。
なくなったところで不便でもなんでもないや!
ところで、海賊4人とトラヒゲ1人で大食い対決して引き分けってことは、1人頭分に換算すればトラヒゲが十分勝ってると思うんですが、がめついトラヒゲがそういう発想は思いつかなかったのかな・・?これもハートをなくしてるせいでしょうか??
風のまにまに号

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