火の鳥・未来編(1)

comic_hinotori2.jpg火の鳥・未来編の原作を読んでみました。今回も長くなりそうなので、分割方式でレビューを掲載します。「火の鳥はサンドイッチ構造」でも書いたとおり、未来編は時系列の上では一番最後のお話で、人類の滅亡とその後の世界を描いた火の鳥の最終章です。人類の終焉を描いているだけにストーリーも壮絶で、かなりのトリップ感を味わうことができますね・・。

あらすじ

西歴3404年、地球環境は荒廃し、生き残った人類は地下の都市国家に逃げ延びて再生への気力もなくし、政治的な決定も全てコンピューターの人工知能に委ねてしまう、という退廃した社会にいました。メガロポリス・ヤマト(日本?)の国家直属の宇宙戦士(自衛隊みたいなもの?)であるマサトは、人間の女性の姿に変身した宇宙生物ムーピーの「タマミ」と暮らしていて、彼女の見せてくれる幻覚世界に逃避することだけが生きがいとなっていました。しかし、国からムーピー飼うことを禁止されていたため、反逆の罪に問われてタマミと共に荒れ果てた地上に逃げ出します。

命からがら生き延びたマサトとタマミは、地上の果てにある小さな研究所で、一人研究を続けている猿田博士と出会い助けられますが、そんな折、人工知能どうしの大戦争に巻き込まれた地下の都市国家は核ミサイルによって全て滅亡してしまいます。この手でもう一度地球上の生物を再生したい、と願う猿田博士の声を聞き届けた火の鳥は、猿田博士ではなくマサトにその役目を託し、もう一度生命が誕生するまで永遠に生き続ける使命を課すのでした。

レビュー

人類の再生を託されたマサトでしたが、地球最後の男となった途端、そのさみしさに絶えられなくなってしまい、自分を慰めてくれる「友だち探し」のために、数千年という無益な時間を費やしてしまいます。
女性の姿をしているに過ぎないタマミを、生き残った男たちが皆で取り合う展開といい、この辺が人間の性(サガ)をうまく描いているな、と思うのですが、荒廃した世界でムーピーの作り出すバーチャル・リアリティに陶酔する人々の姿は、まるでフィリップ・K・ディックの「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」という小説を彷彿させます。ムーピーの語源は、人々に夢や幻覚を見せるという意味の「ムービー(=映像)」から来ているのではないか?と個人的に思いました。(これは多分違うと思いますが・・)
不定形生物・ムーピーであるタマミの本当の姿は、スライムのようにドロドロの醜い姿なのですが、幻覚の中で南国のビーチや夜の公園でマサトとデートを楽しむ姿は、どこから見ても愛し合う恋人そのものです。心の通い合う相手を得ることがどれだけかけがえがないか、ということを極限状態の中で見事に描いていると思います。
人はどんな状況であれ、「恋人」や「友だち」を求めて止まない。この作品の中でマサトが歩んだ数千年に及ぶ彷徨は、現代人の心の闇を照らす「出会い系」の究極の姿を体現しているのではないでしょうか?(続く)

「火の鳥・未来編」朝日ソノラマコミックス

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「漫画は本妻でアニメは愛人」と公言していた通り、手塚治虫は愛人に振り回されていたようだ。湯 続きを読む

いちおしっっ!! - ☆火の鳥☆ (2004年6月26日 21:16)

火の鳥は読み終わった後いろいろ考えてしまうのと興奮するので眠れなくなってしまう作品でした。輪廻転生をテーマに長く書き続けられた子供向けの枠を超えた内容。ホラーではないのにその暗く切なさのある世界観は読んでいて怖くなってしまったほど。特に「火の鳥・復活編... 続きを読む

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多摩川のほとりでのんびり暮らす3人家族の日常と果てなき好奇心を綴ったブログです。

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