安野モヨコの「眼力」

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ちょっと前から週刊モーニングで連載している安野モヨコの「働きマン」が相変わらず面白い。レディ・コミック出身の安野モヨコの漫画を(一応)男性誌であるモーニングに載せてしまう、というちょっぴり実験的な試みであるにも関わらず、そんなことは微塵も感じさせない骨太のストーリー漫画に仕上がっています。何よりも目を奪われるのは、シャープで乾いたタッチの元気がある絵柄です。常に不服そうで挑戦的な主人公の眼差しが刺すようにこちらに迫ってきます。こんなに「眼力」のあるキャラクターを描ける漫画家ってそんなにはいないなぁ、と思いました。
ちょっと前に「広告批評」の表紙を飾っていた安野モヨコのイラストも、こんな感じの強い目線の女性のポートレートでしたが、まるでリキテンスタインの作品みたいで「絵になるなあ」と関心したものです。誰かがそういう感じで元々ある原稿からリミックスしたデザインなのかな?と思っていたら、どうも本人による描き下ろしだったそうです。上の写真はとある書店での広告批評の置かれたブースですが、これはほんとに目を引きますよね・・。

「働きマン」の主人公・松方弘子は、男顔負けの仕事に命を燃やす雑誌編集者。その仕事への情熱がMAXに達するとき、彼女は全身に男性ホルモンが分泌され、働きマン(=寝食・恋愛・衣食・衛生の観念が消失した状態)へと変身する・・というストーリーなのですが、この主人公のマインド面は本当は男そのもので、少女漫画的な迷いを一切持たないところが面白いです。今どき男でもこんなヤツいないよ、っていうぐらいの仕事人間なんですね。

ところが読み進んでみると、この漫画の本当の主人公は彼女ではなく、彼女の周辺に毎回登場する多彩な脇役たちだということが分かってきます。時代遅れのサラリーマンさながらに仕事に全力投球の彼女を尻目に、当の男性陣はスローライフに目覚めて仕事はそつなくこなしていたり、趣味やグルメと思い思いのライフスタイルを確立していたりします。そんな脇役陣の横顔を毎回オムニバス形式で取り上げては、「ひと言インタビュー」みたいな演出で本音をチラリと覗かせたりするのですが、そんな解説も全ては読者に向けたものであって、渦中にいてもがき苦しんでいる松方弘子は知る由もありません。

そんな彼女の姿を通して、モーニングの読者である本物の「働きマン」=男性陣たちがどんなことを感じるのか、非常に興味深いところです。負けてられない、とばかりに仕事への情熱を再認識させられるのか、やっぱり仕事に命をかけるなんてバカバカしい、と目を覚ませられるのか・・。どちらにしても、何か突きつけられるものがあるに違いありません。

book_hatarakiman1_s.jpg安野モヨコ「働きマン(1)」

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コメント(2)

読んでみたくなりました。

安野モヨコは「花とみつばち」も青年誌に連載していました。何かの対談で、色んなジャンルの掲載紙を制覇するとかなんとか言ってたような。

Manukeさん、こんにちは。
今月の「Grazia」に載っていたインタビューを読んだら、内田百閒を始めとした昔の小説を読みまくっていると書いてあったし、思った以上にチャンネルをたくさん持ってる人なんだなぁ、と思いました。戦略的に書き分けてるとしたら、ほんとに「働きマン」ですよね。

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多摩川のほとりでのんびり暮らす3人家族の日常と果てなき好奇心を綴ったブログです。

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