なんとなく勢いのある映画が見たいなー、と思ったので「80デイズ」を観てきました。CMを見て面白そうと思った程度で、何の前情報もなく観に行ったのですが、観終わった感想としては「久しぶりに子供向けの娯楽映画を観たなぁ」という感じでした。配給がディズニーということなので、まさにディズニーシーのアトラクションを見ているような感覚で、世界各国の景色を楽しみながらアクションありロマンスありと、極端な派手さはないけれどそつなくまとめ上げています。なので冒険もの好きの私としては、それなりに楽しめたのですが、一点だけ注意しておきたいのは、この映画、原作ではフランス人という設定の主人公の使用人役にジャッキー・チェンを起用しているため、世界各国の行く先々で悪人相手にカンフーアクションを繰り広げる、という純正の「ジャッキー・チェン映画」として成立してしまってる、ということです。まあ、それはそれで有りだとは思うのですが、知らずに観るとちょっとビックリすると思うので念のため。こんなに強い使用人じゃなかったら、とても80日間で世界一周できなかったような気がしなくもありませんが・・。
私は「80日間世界一周」と言えば、子供の頃にテレビでやっていたアニメ版(登場キャラがみんな動物のやつです)の印象が一番強いのですが、こちらの「80デイズ」では主役のフィリウス・フォッグ卿を奇抜な発明家にしてしまったり、同行するヒロイン役がインドのお姫様からフランスの女流画家に変わっていたり、ジャッキー・チェンの参入で世界一周のコースも中国経由に変更になったりと、アニメ版と比べても随分違ったストーリーになっているのですが、色んな国を旅する楽しさや、旅を通して友情や恋を育むプロセス、といった描き方はアニメと共通なので、大人から子供まで安心して楽しめそうです。
また、国から国に移動するシーンにだけ挿入されるCGによるアニメーションが実に綺麗で、そこだけ「ポーラー・エクスプレス」のようなファンタジックなCGで描かれた地球儀の上をグーンと超スピードで駆け抜けていきます。ただ、それ以外の部分はそれほど目新しい演出は出てこないので、最新のSFXを期待される方にはお勧めできないかもしれません。
この映画の見どころとしては、19世紀当時を連想させるウィットに富んだ小道具の数々。車と言えば馬が引く馬車しかなかった時代、まだアメリカに自由の女神が作られていなかった時代、まだライト兄弟が飛行機を発明していなかった時代・・。そんな時代に思いを馳せながら、軽いタイムトラベル感覚を味わうことができました。
ジャッキー・チェンの起用に関しては賛否両論あるかと思いますが、他にもカレン・モクやカンフー映画のスター、サモ・ハン・キンポーまでゲスト出演しているので、ファンの人にとっては必見の作品と言えるのではないでしょうか?また、なかなか好感の持てる演技を披露してくれる、フォッグ役の主演俳優やヒロイン役の女優さんも、イギリスやフランスの各国では売れっ子という話なので、ジャッキー・チェンと絡めてディズニーが仕掛けた「東洋×西洋のコラボレーション」という試みだったのかもしれませんね。
「八十日間世界一周」の映画化自体は1956年にも公開されているらしいので、2回目の映画化となる今作はいわばリメイク版とも言える存在ですが、前作と区別する意味でも「80デイズ」というノリのいい邦題は意外に良かったような気がします。とりあえず、原作をざっと復習してみたいという方は、アリスに続いて「プロジェクト杉田玄白」による全文訳をどうぞ!もっとじっくり読んでみたい、という方には岩波文庫版の「八十日間世界一周」をお勧めしておきます。
風のまにまに号

コメントする