幼い頃の記憶を頼りにレビューする思い出し絵本シリーズ4冊目。冒険するネズミの話と言えば、ガンバが圧倒的に有名ですが、私の中で忘れがたいのがこのトンデモネズミの冒険です。トンデモネズミは、陶器職人のおじいさんが夜中に酔っ払って作ったネズミの置き物。耳はウサギで、足はカンガルーのようにでっかく、尻尾はなくて、体の色は真っ青・・。その姿を見て、作者のおじいさん自ら「こいつは、トンでもないネズミ=トンデモネズミだ!」と言わしめるほどの出来損ないです。ところが、このトンデモネズミが、ある日生命を吹き込まれて動き出し、たった一人で外の世界へ旅立ちます。様々な出会いを通して、次第にアイデンティティを確立していくトンデモネズミでしたが、やがて明らかになるのは『トンデモネズミはトンデモネコに食べられる』という変えることのできない定めの存在・・。不条理な運命に戸惑いながらも、最後には勇気を出して立ち向かっていく、そんなちっぽけなネズミの姿を見ていると、なぜだか強い共感を感じざるを得ません。読むと絶対元気になる、こんな一冊はいかがですか?
⇒「トンデモネズミ大活躍」ポール・ギャリコ
まるでピノキオみたいなストーリーから始まって、最後には「運命論」という大命題にまで話を広げてしまう筆の運びが秀逸だと思うのですが、そもそもトンデモネズミというのは、ハツカネズミでもドブネズミでもなくて、どこにもカテゴライズされず、居場所のない寂しさというのが出発点になっていると思います。
そんな中途半端な出来損ないでも、広い世の中、あちらこちらで頑張って冒険していれば、誰かの役に立つこともあるし、自分の存在意義を見出すことができる・・。そういう境地に到達したところで、物語のメイン・テーマは一変します。なんと、偶然この世に生を受けたと思っていたトンデモネズミのことが、この世界のことなら何でも書いてある「定めの書」という書物に載っているというのです。
本来だったら、これはトンデモネズミにとって喜ぶべきことなのですが、その本によると、この世に一匹しかいないトンデモネズミは、天敵である(やはり世界に一匹しかいない)トンデモネコに食べられる運命である、と書いてあったのです。世界に一匹しかいない種族だから、世界中探し回っても仲間が見つからないはずだ・・、と子供心に納得させられるところですが、これってまるでネコマジンみたいな設定ですよね?
はじめは、まだ見ぬ宿敵を想像してはビクビクと怖がっていたトンデモネズミですが、最後には意を決して自分の運命と対決することにします。この対決シーンが何より面白いのですが、待ってましたとばかりに用意された、コロシアムのような闘技場が対決場所で、旅の間に知り合った仲間たちもトンデモネズミを応援しに大勢駆けつけているのです。そして、紳士的にナイフとフォークを持って襲いかかるインテリ風なトンデモネコ・・。
多くの観客が「結果が分かった儀式的な戦い」と高をくくる中、トンデモネズミは一人運命を覆すために奮闘するのですが、実際に相対してみた宿敵・トンデモネコは思っていたのとはちょっと違った様子・・。そう、トンデモネコはトンデモネコなりに、「食べる(=搾取する)」と運命付けられた自分の存在意義を、生涯悩み考え続けてきたのでした。
そんな2人の対決にどんな結末が待っているのかは、読んでのお楽しみ、ということにしたいのですが、敵であるはずのトンデモネコ側に多大なる同情を寄せている辺りが、この作者の豊かな想像力の賜物だと思うのです。今までよく知らなかったのですが、作者のポール・ギャリコという方は、他にも色々と面白そうな本を書かれているようですね。中でも「猫」にまつわる本が多く、とても気になります。機会があればこちらもぜひ読んでみたいですね・・。
「ジェニィ」
事故に遭った少年が猫になってしまい、ジェニィという猫と共に旅をするというお話。
「猫語の教科書」
猫が猫語で書いた、猫のための暮らし方マニュアル(?)
風のまにまに号

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