空は、今日も、青いか?

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book_sora_ao.jpg「R25」の巻末に隔週で連載されている石田衣良のエッセー「空は、今日も、青いか?」が、筆者初のエッセー集として単行本化されました。「R25」は毎回手に取る機会があったので、この巻末コラムだけはいつもかかさず読むようにしていたのですが、ちょっと肩の力の抜けた高橋秀実さんのコラムと、テーマ多彩で時に切ない哀愁を含んだ石田衣良さんのコラムは、それぞれ全く毛色が違うものの、普段活字離れしている私にとって、常に新しい視点を与えてくれる一本の「清涼剤」のような存在でした。(つい先日、R25世代というよりはR30世代に突入してしまったので、いつまで読んでいていいのかやや後ろめたい気持ちはありますが・・)時代を鋭敏なタッチで切り取るといわれる石田衣良ですが、こちらのエッセーでは普段の小説とは違って現代の若者に向けた直球のメッセージが多く、読んでいるとガツンと身につまされることもしばしばです。そういった切実な言葉に重みが感じられるのは、筆者自身が決して楽して稼げる作家業ではなく、苦労と迷いを重ねた旧R25世代を経験したからに他ならないのではないでしょうか?

私が一番グッと来たのは、「ひとりぼっちのきみへ」と題されたエッセーの中の以下のくだりです。「自分で体験したわけでもないのに、よくあんなふうにもっともらしく人物を書けますね」という読者からの質問に答える形での一節。

確かにぼくたちは誰だって他人にはなれない。けれども自分がほかの人間でないことと、人の気持ちがわからないことはまったく別な問題なのだ。
(中略)
立場は違うだろうけれど、もし自分が相手のような状況になったらどんな風に感じ、どう考えるか、そしてどんな行動にでるか。他社に共感する力と想像する力、それをきちんと磨けば、かなりのところまで他人の気持ちだって理解できるのだ。またそうでなければ、小説や映画など成り立つはずもない。すべては他人の物語にすぎないのだから。

一度でも小説や物語を書こうと思ったり、人生の中のある時期読書に没頭したことのある人だったら、当然同じ考えに至ると思うのですが、確かにそういう経験のない人にとっては不思議に思う部分かもしれません。そういった想像力の欠如が、若い世代の「孤独」につながり、自分が「ひとりぼっち」だと感じてしまう理由に発展するのだ、というところまで見抜いてしまうのが、さすがだなぁと思うのですが、同時に若者の読書離れを憂いているのが、また共感を誘いますね・・。

本書の構成は、R25連載時そのままの時系列ではなく、日経新聞や女性誌に連載していたコラムと合わせて、なんとなく大きなテーマごとに分かれてランダムに再構成されています。なので、R25での連載を結構読んでいたという人でも、単行本として改めて楽しめるし、何よりこうして色々なテーマやターゲットに向けて書かれた文章をまとめて読むと、どれだけ著者がメッセージ性を込めてエッセーを書いているかがよく分かります。

定職につかずに長いこと渡り歩いた若い時代を振り返っては、新社会人を励ましたり、若い女性に恋愛指南をしてみせたと思ったら、実はラジカセブーム以来の30年間に渡ってアキバ通いを続けている、なんて意外な一面が分かったりするのも面白いところ・・。なんといっても、「波のうえの魔術師」に書かれていた修行風景が、そのまんま著者自身の経験だったというのが個人的には一番の驚きです。そうした人生経験を全て作品に落として、多様なジャンルを生産し続けているのが、やっぱり職人タイプの作家さんだなぁ、と再認識させられる一冊でした。

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多摩川のほとりでのんびり暮らす3人家族の日常と果てなき好奇心を綴ったブログです。

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