「月館の殺人」を読了。

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comic_tsukidate2.jpg先月発売された「月館の殺人・下巻」を購入し、ようやくラストの結末まで読了しました。綾辻ファンとしては、読みながらも早く推理したくて仕方ないのに、ストーリーが終盤に差し掛かっても手がかりらしい手がかりが掴めず、幾度もテツ(鉄道マニア)たちのオタク談義に煙に巻かれてしまう・・。結局のところ最後の最後までそんな感じの展開でした。もちろん、綾辻行人お得意の「どんでん返し」も健在でしたが、ミステリそのものを追求するよりは、個性的な登場人物たちによって繰り広げられる魅惑のテツ・ワールドに身をゆだね、笑い転げる方が正しい楽しみ方なのかもしれません。しかしながら、佐々木倫子の回想・夢想が飛び交う卓越した表現力がなければ、これほどリアルな鉄道マニアの内面は描けなかっただろうし、巻末にびっしり書かれた「鉄道用語解説集」を読むと、何よりも陰のテツ顧問ことテツ編集長の功績が大きかったことが分かります。作中にさりげなく登場する小道具の数々に、熱い思いと涙のエピソードが隠されていることを知らされれば、テツならずとも思わず読み返してチェックしたい衝動に駆られます。そんなわけで、綾辻行人と佐々木倫子の二大巨頭が、生粋のテツとコラボレートして生まれた幻想的な鉄道漫画、それこそが「月館の殺人」の本質だと言えるのではないでしょうか?

最大の見どころは、やはり他の綾辻作品でも特徴的な、読者をも騙す大がかりな大トリックで、これは館シリーズで言えば「時計館」に匹敵するぐらい壮大な仕掛けだったと思います。ただ、その後の犯人当てに至る伏線がやや弱いため、全体的に物足りないと感じる人も多いかもしれませんが、この途方もないメイントリックを成立させるためには、

・テツ=鉄道を愛する者たちの限りない情熱
・鉄道のためなら惜しみなく私財を投じる大富豪(キング・オブ・テツ)の存在

・・等々、いくつかの条件が揃わなくてはならないため、じっくり読み込んでみるとロジックとしていかに筋が通っているかが分かってきます。それに、どうせ騙されるなら素敵な嘘の方がいいに決まっている・・。「月館の殺人」を読んで綾辻行人と佐々木倫子にすっかり騙された!という読者の方々は、伝説の機関車をよみがえらせ北海道の雪原に走らせた「幻夜」号の美しい情景や、巨大な館に夢を描いて鉄道狂たちの理想郷を造り上げた富豪・十蔵氏の情熱に、胸を打たれずにはいられないのです。

そんな私も、これまで鉄道にはとんと興味がなかったつもりですが、「月館の殺人」を読んだら「幻夜」のモデルとも言える寝台特急「北斗星」に乗ってみたくて仕方なくなってしまったし、列車をめぐるあれこれや、各種鉄道グッズに半ば興味津々といった状態になってしまいました。列車での旅は嫌いじゃないし、元々そうした素質があったということでしょうか・・?それにしても美しい「幻夜」の登場シーンを読むと、ポーラー・エクスプレスを思い出しますね。あの映画も実在の機関車をモデルにしているらしいですが・・。

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昨日の深夜番組でこの本の装丁について紹介されていました。そしたら知らなかった仕掛けが・・・
①カバーをはずすと小説風の装丁になっている
②原作者のあとがきが下巻の巻末の黒いページに黒で印刷されている(光にすかさないとみえない!)
③下巻第14話からページの色が違っているのはそこからミステリーが解き明かされるため読者自身が犯人をもう一度考えられるようになっている。

あとがき読みずらいですが、中表紙素敵です。

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多摩川のほとりでのんびり暮らす3人家族の日常と果てなき好奇心を綴ったブログです。

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