六本木ヒルズの森美術館で開催中の「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」展に行ってきました。昨年中から気になっていた展覧会だったのですが、せっかく「はつゆめ」というタイトルなのだし、年が明けてから見に行くのもいいかなと思い、昨日足を運んでみました。ヴィデオ・アートの第一人者として有名なビル・ヴィオラ待望の個展は、『初夢』という名にふさわしく、私たちに様々な幻視をかいま見せてくれます。巨大なスクリーンに映された男が突然火の海に包まれたかと思うと、スクリーンの裏側では同じ男が滝のような水を浴びせられていたりと、確かに夢の1シーンのように唐突でありながら、意味深長です。ただ、全体を通しての特徴をひとことで言い表すならば、スローモーションの多用という点に尽きると思います。道端で出会った女性たちがあいさつしているだけの映像が、スローモーションで見るとまるで荘厳な宗教画のように見えてくるし、喜怒哀楽の表情を無限に間延びした時間軸で流した作品などは、肉眼では動いていることすら認識できず、もはや肖像画にしか見えません。
ただスローモーションにしただけなのに、普段見ている光景がたちまち夢見てるような異世界へと変容してしまうから不思議です。ビル・ヴィオラは、私たちが日々何気なくやり過ごしている「時間」という概念に、ちょっぴりスパイスを加えることで、私たち人間のしぐさや表情に潜んだ無数のメッセージを浮かび上がらせようとしているのではないでしょうか?日夜あわただしい時間の中で生きている私たち日本人にとっては、とりわけ訴えかけるものが大きいと思います。それにしても、こうした作品のアイデアを思いつくビル・ヴィオラもすごいと思いますが、ヴィデオの中で迫真の演技をしている役者さんたち(?)の努力にもほんとに脱帽ですね・・。
日本文化にも慣れ親しんだビル・ヴィオラの作品が、東京の六本木ヒルズという場所で見られるということの意味が、また大きいような気がします。来週の8日(月・祝)までと会期が迫っていますが、今年はまだ初夢を見ていないという方は、ぜひ森美術館に「はつゆめ」を見に行ってはいかがでしょうか?もれなく展望台からの絶景というおまけ付きですよ。

<関連サイト>
・森美術館
風のまにまに号

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