アメリカの国民的アニメ「ザ・シンプソンズ」待望の映画版「ザ・シンプソンズ MOVIE」を観てみました。私は1年ほど前からスカパーのFOXチャンネルでやっているのを見るようになって、一気にハマってしまったのですが、繰り返し再放送されているので、昔からのファンという方も少なくないのではないでしょうか?いつもトラブルばかり起こすホーマーが、またしても身勝手な行動から大惨事を引き起こし、今回はなんとスプリングフィールドの町が『消滅』の危機に・・。そして住む家を追われたシンプソンズ一家が新天地を求め、アラスカに移住・・?!相も変わらぬバカ騒ぎが、大スクリーン狭しと繰り広げられるのが最大の見所ですが、社会を映し出す鋭い目線が随所に盛り込まれてる点も、忘れてはいけません。ブラックユーモアの中に環境問題、宗教、人種差別、そして家族愛と、様々なテーマが詰め込まれたこの作品、いつもギリギリ社会の枠からはみ出してしまうホーマーだからこそ、大多数のアメリカ人の気持ちを代弁できるのかもしれません。劇場公開時には声優問題で議論を呼んだこの作品ですが、DVDにはオリジナル声優バージョンも収録されているので、旧来からのファンも安心して楽しめますね。
シンプソンズが最もすごいと思う点は、もう15年以上続いてるというのに、絵柄やスタイルが初期シリーズのままほとんど変わらず、違和感なく踏襲されているということです。これは今回の映画版についても同様で、憧れのワイド画面に対応し、なめらかで立体感のある動きを実現するため、随所にCGが応用されてはいるのですが、基本的な絵柄のテイストは変わらず、オープニングのテーマ曲さえいつもと全く同じなのです(グリーン・デイによる生演奏バージョンという点を除けば・・)。
逆にいえば、いつもの20分枠ですら映画並みにスケールのでかい話がほとんどなので、どんな大事件が起こってもいまひとつ変わり映えしない、というのがファンの素直な感想かもしれません。それでも、いつもと変わらない「シンプソンズ」を、大画面のスクリーンで見ること自体に意味がある・・。そう逆説的に感じさせてくれるのが、冒頭でホーマーが言うこんなひと言。
「テレビでただで見られるのに金出して見るなんてどうかしてるよ。はっきり言ってこの映画館にいるやつ皆どうしようもないアホだね。特にあんた、おまえだよ!」劇中で映画版「イッチー&スクラッチー」を観ていたホーマーが思わず叫んだひと言ですが、これが取りも直さず「ザ・シンプソンズ MOVIE」を観ている観客に対する、強烈なアンチテーゼなのは言うまでもありません。シンプソンズの製作陣が、映画版だからといって急に色気を出したりせず、いつも通りのくだらないバカ騒ぎを繰り返すことは、ファンであれば分かりきったことなのに、それでも観に行ってしまう・・。それもきっと、子供連れのファミリー層だけでなく、MOE'SバーでDaffビールを飲んだくれてるような中年男性が、連れだって観に行ってるに違いないのです。
ここに日本とアメリカの国民性の違いを感じずにいられないのですが、『下らないものを下らないものとして楽しむ文化』。このことに、本当は年代も国籍も関係ないのでしょう。シンプソンズのもたらす笑いは、時として高度に洗練された文化性をも、見る人に要求するのかもしれません。・・と、そんなことはさておき、この映画版ではリサに彼氏ができたり、マギーが初めての言葉をしゃべったりと、映画ならではのスペシャルな出来事もたくさんあるし、トム・ハンクス本人や、某州知事のシュ○ちゃん激似の大統領が登場したりと、好例のパロディやサプライズも盛りだくさん。
映画規模の大迫力のアクションシーンで、親子の絆を再確認するホーマーとバートの活躍には、ハラハラドキドキと同時に、ホロリと感動させられること請け合いです。シンプソンズがはじめての方も、そうでない方も、ぜひ映画になっても「いつもと変わらない」シンプソンズの楽しさを、軽い気持ちで堪能してみてはいかがでしょうか?
風のまにまに号

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