こちらはハワイからの帰りの飛行機の中で見たブルース・ウィリス主演の最新作「サロゲート」。ロボットやアンドロイドものではなく、あくまでも人間の代理人(=サロゲート)として社会生活を営むマシンという設定が新しいところ。マトリックスのようにバーチャルに操っているのに、仮想空間ではなく、持ち主と同じ現実世界に存在する身代わりなのです。まさにリアル版アバターといったところでしょうか・・?せっかく機械の体が持てるのならと、みんな容姿端麗な美男・美女のボディばかりを選ぶので、登場人物がまるでマネキンみたいに見えてしまいます。さて、我らがブルース・ウィリスも、不可解な殺人事件を追う刑事として登場しますが、なんとこのタフでクールな主人公自身も「サロゲート」だったのです!
人類の90%以上がサロゲート(=機械の体)を使っているという設定だから、無理もない話なのですが、強くたくましいブルース・ウィリスまでがニセモノで、実際は家の中でマシンに没入しているネトゲ野郎だったなんて、ちょっぴりショッキングですよね。しかも、サロゲートの方が若くカッコよくて、ちょっぴり髪もフサフサだし・・。
そんな風に、誰しもが朝からサロゲートを『着て』、家から職場へ通勤する、というお人形ごっこみたいな生活をしている近未来で、サロゲート・システムの安全を脅かす事件が発生します。FBI捜査官のグリアーは事件の真相を追ううちに、サロゲートに依存した社会に疑問を抱くようになり、やがて老いて弱った生身の体に鞭打って、正面から事件の黒幕と対決するのでした。
登場人物のほとんどがサロゲートを利用しているので、普段のきらびやかな日常と、暗くすさんだ現実との対比が見物です。身代わりだから何をしても傷つかないし死なない・・。そんな環境だからこそ、昨今のネット社会さながら、平気で他人を傷つけたり、人格が変わったようにはしゃいでストレス解消したりもするのです。そんなネットの『負』の側面が現実世界にまで噴出してしまったら、さぞかし大変でしょうね・・。
映画の中にはサロゲートを捨てて自然へ回帰せよ、と謳うカリスマ的な宗教リーダーなども登場するのですが、そんな『自然派』の人類から見ると、機械の体のブルース・ウィリスがまるで悪役のターミネーターみたいに見えるところが、また風刺的で面白いですね。謎が謎を呼ぶサスペンスフルな展開も飽きさせませんが、サロゲートによって冷め切ってしまった夫婦愛の行方は?そして、70年代のSF映画をも彷彿させるシュールなラストシーンにぜひ注目してみてください。
風のまにまに号

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